「余はフェンと申す。
この国の王だ。」
私の肩くらいまでしかないだろう背。
くりくりとした吊り目は幼い。
まさか…子供!?
こんな子供がこの大国の王様なの!?
「それでは,こちらへ。」
「は,はい…。」
びっくりして目をぱちくりさせながらその人についていく。
「あなた,貴族の子供?」
私と2人きりになった後,その人が聞いてくる。
「はい。下級ですけれど…」
「ふーん,私はテール。
あなたの先輩になるかな。
指導係なので,なんでも聞いてね!」
明るく,弾けたような笑顔を見せながらそう言った。
どうやらさっきの大人っぽさは,王の前だけのフリみたい。
仲良くなれそうだな,と思いながら,
「よろしくお願いいたします!」
私も笑顔で返した。