1ヶ月の謹慎処分の初日。
「暇だな」
朝起きて、例えばどこかに行くとか、そういう目標がないのは実は結構つらい。
初回の謹慎処分ではそれが何よりも辛かった。
まず起きたらご飯を食べて勉強を始める。
学校の勉強に遅れを取らないように、毎日学校から勉強する範囲を指定される。
皆が学校で勉強している時間は勉強するようにしていた。
たまに読書もしたけど。
友達と喋るということが学校ではないので人と話せないということには全く抵抗はなかった。
それに美晴は毎日今まで通り家にご飯を作りに来てくれた。
「私のためにしてくれた事なのに、、、本当にごめんね」
彼女のその言葉には
「僕も、もっとやり方があったから。僕が悪いんだよ」
といつもそう言葉をかけた。
父親はというと、叱るわけでもなく
「人を助ける為のことなら俺は怒るつもりはない」
と、そう言ってくれた。
毎日担任から電話がかかってきて
「気の毒だが暴力は暴力だからなぁ」
と、いつも怖い先生だが同情して、慰めてくれた。
そんなこんなで1ヶ月の謹慎はあっという間に終わった。
謹慎を終えての初登校。
1ヶ月の月日をこれでもかと思い知らせてくる暑い日差し。そして、衣替え。
教室に入った時の空気はと言えば言うまでもない。
俺が殴った女子が噂を広めているらしく、「女を殴ったクズ男」のレッテルを貼られていた。
「あいつ、よく平気で学校来れるよな」
そんな声も耳に入ってくる。
正直クラスでの評価はどうでもよかった。
自分の行動は妥当な判断だったと思う。
むしろ誇りにさえ思う。
やり方を間違えたと思われるかもしれないが、あの手の人間はこれぐらいやらなければ懲りることは無い。
俺はいつも通り、自分の席で本を読む。
そして、また普通の学校生活が始まった。
なのに、
「くそつまんねぇ」
自分に嫌気がさす。
周りの声なんてちっとも興味が無い。
そう自分では思っていたのに。
自分の悪口を聞く度に苛立ってしまう自分がいた。
気にするな、気にするな。
そう思う程に人の悪口は自分の心に突き刺さる。
「智!帰ろ!」
「ごめん、今日は一人で帰って」
それから美晴とも距離をとってしまっている。
好きなのに。
否、好きだから。
自分の傷つく弱い姿は見せたくない。
彼女の頼れる唯一の人でいたい。
それにきっと自分が傷つく姿を見せたら彼女が責任を感じてしまう。
それから1週間たった頃から、彼女から声をかけられることすら無くなった。
「これで俺たちの関係は終わってしまうのか」
彼女の前で自分が気持ちを抑えれば良かった話だ。
いや、抑えられる自信が無いのも事実。
しかし、これで彼女を不安にさせては本末転倒だ。
色んな考えが頭を過ぎった。
考えれば考えるほど別の答えが出てくる。
結局正解ってなんだったんだろう。
そして今日もまた一人、靴箱を開ける。
「これは」
そこにはルーズリーフの切れ端があった。
「今日向町駅に18時」
その手紙の文字は美晴のものだった。
「美晴、、、」
携帯電話を開き電話をかける。
「父さん、悪い、今日ちょっと帰るの遅くなるかも」
「暇だな」
朝起きて、例えばどこかに行くとか、そういう目標がないのは実は結構つらい。
初回の謹慎処分ではそれが何よりも辛かった。
まず起きたらご飯を食べて勉強を始める。
学校の勉強に遅れを取らないように、毎日学校から勉強する範囲を指定される。
皆が学校で勉強している時間は勉強するようにしていた。
たまに読書もしたけど。
友達と喋るということが学校ではないので人と話せないということには全く抵抗はなかった。
それに美晴は毎日今まで通り家にご飯を作りに来てくれた。
「私のためにしてくれた事なのに、、、本当にごめんね」
彼女のその言葉には
「僕も、もっとやり方があったから。僕が悪いんだよ」
といつもそう言葉をかけた。
父親はというと、叱るわけでもなく
「人を助ける為のことなら俺は怒るつもりはない」
と、そう言ってくれた。
毎日担任から電話がかかってきて
「気の毒だが暴力は暴力だからなぁ」
と、いつも怖い先生だが同情して、慰めてくれた。
そんなこんなで1ヶ月の謹慎はあっという間に終わった。
謹慎を終えての初登校。
1ヶ月の月日をこれでもかと思い知らせてくる暑い日差し。そして、衣替え。
教室に入った時の空気はと言えば言うまでもない。
俺が殴った女子が噂を広めているらしく、「女を殴ったクズ男」のレッテルを貼られていた。
「あいつ、よく平気で学校来れるよな」
そんな声も耳に入ってくる。
正直クラスでの評価はどうでもよかった。
自分の行動は妥当な判断だったと思う。
むしろ誇りにさえ思う。
やり方を間違えたと思われるかもしれないが、あの手の人間はこれぐらいやらなければ懲りることは無い。
俺はいつも通り、自分の席で本を読む。
そして、また普通の学校生活が始まった。
なのに、
「くそつまんねぇ」
自分に嫌気がさす。
周りの声なんてちっとも興味が無い。
そう自分では思っていたのに。
自分の悪口を聞く度に苛立ってしまう自分がいた。
気にするな、気にするな。
そう思う程に人の悪口は自分の心に突き刺さる。
「智!帰ろ!」
「ごめん、今日は一人で帰って」
それから美晴とも距離をとってしまっている。
好きなのに。
否、好きだから。
自分の傷つく弱い姿は見せたくない。
彼女の頼れる唯一の人でいたい。
それにきっと自分が傷つく姿を見せたら彼女が責任を感じてしまう。
それから1週間たった頃から、彼女から声をかけられることすら無くなった。
「これで俺たちの関係は終わってしまうのか」
彼女の前で自分が気持ちを抑えれば良かった話だ。
いや、抑えられる自信が無いのも事実。
しかし、これで彼女を不安にさせては本末転倒だ。
色んな考えが頭を過ぎった。
考えれば考えるほど別の答えが出てくる。
結局正解ってなんだったんだろう。
そして今日もまた一人、靴箱を開ける。
「これは」
そこにはルーズリーフの切れ端があった。
「今日向町駅に18時」
その手紙の文字は美晴のものだった。
「美晴、、、」
携帯電話を開き電話をかける。
「父さん、悪い、今日ちょっと帰るの遅くなるかも」
