君に恋した僕の話

駅に着くと平日の昼間なのに学生で賑わっていた。
うちの学校の制服を着ている学生も多いが他校の学生も多い。
だいたいの学校が今日テスト最終日を迎えたようだ。
「んー、結構人多いね〜」
「そうだな、どっか行きたいとこある?」
「カラオケとか??」
この辺のカラオケと言えば、、、ってよく考えたら元ぼっちの僕がカラオケとか行ったことがあるわけがない。
恥ずかしながらここは、スマホに頼ろう。
最寄り500メートル。かなり近い。
「じゃあ、南口の近くのカラオケ行こう」
「りょーかい!」
ほんの数分歩いてカラオケにつき、受付に向かう。
カラオケに行ったことがないからもちろん受付はした事がない。
しかし、ここでてこずっては来たことがないのがバレてしまう。
機種は名前の響きがカッコイイ「MJミュージック」を選んでみた。
「602号室だって」
「この廊下の突き当たり辺りかな?」
部屋に着いたので上着を脱いで、マイク2本と機械を取って腰を下ろした。
「ちょっとトイレ行ってくる!」
と、美晴が部屋を出たので帰ってくるまで本を読むことにした。
テスト期間中は電車の中でも単語帳ばかり読んでいたので久々の読書だ。
広告などが流れるカラオケ機の音量を下げ、読書に集中する。
そういえばこんなストーリーだったなと、思い出しながら読み進めた。
それから5分程読書をした後、少し伸びをしようと立ち上がった時、外からなにか騒がしい声が聞こえてきた。
「ちょっと!やめてよ!」
美晴の声だ。
友達と仲良くと言うわけではなく明らかにその声は悲鳴だった。
僕は慌てて部屋を出た。
そこにはジュースをかけられ必死に抵抗する美晴の姿があった。
目の前が真っ白になりそこからの記憶はほとんど無い。
気づいた頃にはバックヤードにいた。
目の前に座るカラオケの店長。
なにか説教をするように喋っているが何も聞こえない。
そうか、俺また人を殴ったんだ。
手の甲の赤い腫れが生々しく現実を知らしめてきた。
それから俺は学校と親に連絡をされ、2度目の謹慎処分となった。