触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜

料理になかなか箸をつけない私を見て、茜ちゃんがとうとう叱った。



「さっきからお酒ばかり飲んでて、悪酔いしますよ! 少しでいいので食べてくださいよ!」

「うーん……」



ジョッキが空になった途端、同じものを注文して飲み続ける。そうして考え事をしながら飲んでばかりいたせいで、いつの間にか4杯目になっていた。

さすがにペースが早すぎる。
自分でも酔っている感覚がわかる。


ーーあ、ダメだ。



「ごめん、ちょっとトイレ」



半ば言い逃げのように席を立つ。

平衡感覚を失ってもつれる足を壁で支えながらトイレまで走った。




「ーーミカさん、大丈夫ですか?」



個室のドアがコツンと鳴って、茜ちゃんの声が聞こえる。



「……大丈夫……じゃない……かも」



吐くとスッキリするけど体力消耗してしんどい。

お酒の飲み方、下手になってきたなぁ。

トイレの壁にもたれて、呼吸を繰り返す。立てばまた吐きそうで、動けない。

外で待たせている茜ちゃんにも申し訳ないし、情けなくなってくる。



「……30分後くらいにタクシー呼ぶので、楽になったら出てきてください」



茜ちゃんの声の後、返事をする前にドアの閉まる音が聞こえた。



ーー澪ちゃんに会いたい。
こういう、しんどいことがあった日は弱くなる。

澪ちゃんに、触れたい……。