触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜

それぞれ注文を終えてから、ドリンクバーへ向かう。

温かいココアを持って一足先に席に戻ると、付け合わせのサラダとスープが運ばれてきた。

店員が下がってから澪ちゃんが戻ってくる。



「迷っちゃったんでとりあえずお茶にしました」



冷たいお茶の入ったコップを置いて澪ちゃんが笑う。よく迷う子だ。


付け合わせのサラダをお互いに口に運びながら、私は澪ちゃんに聞きたかったことを尋ねた。



「澪ちゃんって夜はSARASAにいるでしょう?日中は何してるの?」



私の質問に澪ちゃんがまばたきする。



「大学生してますよ、言ってませんでしたっけ?」



ーー聞いてない、気がする。



「え、澪ちゃんって年いくつ?」

「22です。今年大学卒業します。
卒論も提出しちゃったから学校行くことはほとんどないんですけどね」



そう言ってもくもくとサラダを頬張る澪ちゃん。

せいぜい1、2こ下だと思ってたけど、よくよく考えてみたらそんなに3つの差なんて大したことないか。

それよりも学生という事実に驚いた。



「あれ、今年卒業ってことは就活はどうしたの?」

「このままSARASAで働きますよ」

「そうなんだ。親御さんとか何も言われなかった?」

「いや、特には。卒業さえしてくれればいいって感じですかね」

「へえ。あ、でも私も大学生じゃなくてバーテンダーの澪ちゃんが本業だと思ってたから、違和感ないね」



サラダを食べ終えた澪ちゃんがスープを飲み干す。

食べ物や飲み物を選ぶときはあんなに迷っていたのに、食べるのは早いのか。