心臓が波打って苦しい。

澪ちゃんに気づかれないように、傷つけないように、静かに息を整える。

横目で隣を見ると、澪ちゃんは足を組んで背もたれに寄りかかりながら、さっきと変わらず平然とスクリーンを眺めていた。

ほっとして前を向く。



スクリーンの中では人気の俳優が1人、惨殺された後だった。


映画館の中ではそれ以降、澪ちゃんは私に触れてこなかった。

もしかしたら気づかれたのかもしれない。

そう考えるとどうしても申し訳なくなって、今すぐにでも謝ってしまいたくなる。

でもそんなことしたら逆に澪ちゃんを傷つけることになるのではないかと思って、やっぱり言い出せない。