いつの間に気を失っていたのか眠っていたのか、暗い部屋の中で目が覚めた。

目の前に壁があるように感じて無意識に手を伸ばす。


ーー!?


触れたものが何なのか理解した瞬間、距離をとろうと体を動かそうとしたけど、頭と腰をがっちり固定されて離れない。



「……ミカさん、起きた……?」



腕の力と対照的なのんびりとした声が上から降ってきた。



「澪ちゃん、服……っ」

「……んー」

「服着よう!」

「……やだー」




寝ぼけているのか、猫のように擦り寄って体を密着させてくる。

意識がはっきりしてきた分、触れている感触が直に伝わってこの上なく恥ずかしい。

本人は気にしていないのか健やかな寝息を立てている。



「澪ちゃん……っ」


おでこに鎖骨が当たるくらいくっついている。

さすがに息苦しくて少し体を動かす。
目を覚ましたのか、急に澪ちゃんが離れて起き上がった。



「……あっぶねぇ……いやアウトか、これ」



変な夢でも見たのか、焦っている。



「どうしたの?」

「あー……ミカさんにくっついてたら反応しちゃった」



「えへへ」と照れたように笑う。

なんのことか一瞬で理解できてしまう自分が恥ずかしい。



「……見る?」



私の反応を面白がっているのか、澪ちゃんが下半身を隠していた布団をどけようとする。



「見ない! 服着なさい!」



首を90度横にそむける。
自分も裸なのに命令口調になってしまった。

顔も体も熱いのは、部屋のエアコンが効きすぎているせいだと思いたい。