触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜

澪ちゃんの大学の学食でご飯を食べる予定だったけど、泣きすぎて顔がすごいことになっているからとりあえず一旦、着替えを取りに私の部屋へ行ってから澪ちゃんの部屋へ行くことになった。

澪ちゃんは着替えくらい貸すのにと言ったけど、何度も着替えは借りてられないし、朝から着替えを取りに行って忙しくするのも嫌だったから。



「じゃあ、車返してくるから先に部屋に入ってて」



澪ちゃんから部屋の鍵を受け取ってアパートの前で降りる。

家主のいない部屋に入るのは緊張する。

澪ちゃんが来るまで何してようかと部屋の中を見回すと卒業アルバムが目についた。


ーー「今と全然違うから」という理由で見せてくれなかったけど……、もう男だって知ってるし、見てもいいよね?


誰かに確認するように心の中で呟いて、高校の卒業アルバムに手を伸ばす。


ーー澪ちゃんは何組だったんだろう。


1組から順番に探していくと、あっけなく見つかった。
五十音順に並んだ名簿写真に髪の短い澪ちゃんがいる。今より少し幼い感じがして、でも年相応の普通の男子高校生にも見える。
ただ少し違うのは、クラスの誰よりも澪ちゃんがやたらキレイだったところだ。

ひとりで興奮しながらページをめくる。
体育祭や文化祭、修学旅行といった学校行事の写真のほとんどすべてに澪ちゃんが写っている。
写真を撮ったカメラマンも澪ちゃんを追いかけていたんじゃないかというくらい。むしろ私がカメラマンだったらそうしている。