「なに……?」



よく知らない相手に、寝起き・すっぴん・パジャマ姿を見られて気が気じゃない。

思わず布団を引っ張って胸に寄せる。



「ミカさん、気づいた?」



智哉さんは、そんな私に構いもせずに、うなだれている澪ちゃんの腕を引っ張った。



「澪、男だよ」



朝からなんの冗談かと思ったけど、澪ちゃんの手には車の鍵ともうひとつ、あの三角のぷにぷにが握られていた。

ものの正体がカチリと噛み合う。



「………………」



絶句していたら、澪ちゃんがおそるおそる顔を上げた。

泣きそうな顔になっている。というか、顔面蒼白。



「……あ、」




頭が真っ白になる。

どういうこと……?

昨夜の出来事を思い出して、ざぁっと全身の血液が引いていく。

なにか言わなきゃ。
でも何を言ったらいいんだろう。



「……とりあえず、会社、行かなきゃ……」