けたたましく鳴るチャイムに起こされる。
珍しくアラームにも気づかなかった。

私が体を起こすよりも先に、澪ちゃんが慌てて寝室を出ていく。

疲れが溜まっているようだ。
体、主に下半身が筋肉痛のようにだるい。

もぞもぞと起きると、手に生暖かい柔らかいものが触れた。


ーーなにこれ。


丸みを帯びた三角形。シリコンのようなしっとりとすべすべした質感でベージュ色のそれは結構重たかった。
よくわからないけど触り心地がいい。






夢中になっていたら玄関先から大きな音がした。
近づいてくる早歩きの足音に、何が起きたのか開けっ放しのロールカーテンの先を見つめる。

車の鍵を持った澪ちゃんが寝室に入ってきた。
そして私の手元を見て。



「あぁあぁああぁぁぁ……」



変な声を出して腕で顔を覆いながら、膝から崩れ落ちた。



「あれ、まだ言ってなかったの?」



澪ちゃんの真後ろに何度か見たことのある男の人が立っていた。「智哉」と呼ばれていた気がする。