うぅ、眠くなってきた……。



「ミカさん、具合悪い? 飲ませすぎたかな」



トイレを済ませてカウンターの上で突っ伏していると、頭に手を置かれた。



「……大丈夫、眠いだけだから」



顔を上げるといつの間にか他のお客さんは帰っていて、カウンターにはまた私1人だけになった。
少し眠っていたのかもしれない。

澪ちゃんの雰囲気が柔らかくなっている。
あのお客さんのおかげで、カドが取れたみたいだ。

少しホッとする。



「さっきねぇ、仲直りの方法調べてたらボディタッチって出てきて笑っちゃったよ」



「ほら」と、勝手に許された気分になって澪ちゃんに検索結果画面を見せる。



「へぇ、じゃあミカさんはしてくれるの?」

「……澪ちゃんはボディタッチで許してくれる派?」

「私の言うボディタッチは結構際どいですよ?」

「……………………」



さっきまでの心配そうな菩薩の表情がすぅっと消えた。



「ーー『次は頑張ってくれる』んだもんね? それ今日でいいよね?」



澪ちゃん、その含み笑いやめて……。

いやらしいことを考えているときの澪ちゃんは、だいたいこの顔をする。

過去の自分が墓穴を掘りにやってきた瞬間だった。