触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜

茜ちゃんが嘲るように言った。

茜ちゃんは、私が澪ちゃんと付き合っていることを知ってる。
これは知っていて言ってる。

「悪意」が見える。



「違う」



それだけ言うのが精一杯だった。
だって何を言っても言い訳にしか聞こえない。

怖くて、澪ちゃんの顔を見れない。

よりによって元彼と一緒にいるところを見られるなんて。
行かなきゃよかったし、そもそも電話に出なきゃよかった……。

なにか言わなきゃと思って、考える。



「茜さん、今のは、」



先に口を開いたのはカウンターにいる澪ちゃんだった。

氷を割る手を止めて、茜ちゃんを睨んでいる。



「私に対してわざと言ったよね?」

「バレたー?」

「ミカさんに八つ当たりしないで」

「だってムカつくんだよ」



茜ちゃんの言葉に体が怯む。



「誰にでもいい顔して嫌われないように振る舞って、嫌なことがあれば泣きつくくせに、こっちがしんどいときとか来てほしいときには来てくれないし」



吐き捨てるようにそう言うと、茜ちゃんがこちらを見た。

いつもの笑顔がすごく怖い。



「ミカさんに言ったんじゃないですよ?
でもあまりにも似てるから本当に腹が立つ」



茜ちゃんはそう言うとスツールから降りて、ショッピングバッグを乱暴につかんだ。

会計を済ませてこちらを振り向きもせずに、SARASAを出ていく。

ドアのガラスとベルがぶつかって激しい音を立てる。