触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜

そろそろ目も大丈夫かもしれない。
それよりも澪ちゃんに会いたい気持ちが強くて、SARASAへ向かう足が早くなる。

走っている途中で気づく。
あぁ、適当な服で来なきゃよかった。

今の私は2年前に買ったニットワンピースにコートを着ただけの楽な格好だった。



SARASA自体、久しぶりに来たなぁ。

前に来たときは澪ちゃんがいなくて、代わりに白髪混じりの男の人が立っていた。

ドアノブを握って引っ張る。
カシャン、とベルが鳴って、おいしそうな匂いと壁の間接照明の光が見えた。



「ミカさんだー」

「あ、」


ーー茜ちゃん……?

カウンターの一番端に、見慣れた後輩の姿があった。
私服を初めて見るから、一瞬誰だかわからなかった。