「………やだね」

「……うん、いやだ」

2人の“同じ”ことなのか、

雨のことなのかはわからない。

2人で空を見上げていると、彼女が言った通り

雨はすぐに止んだ。しかし、2人とも動かない。

「帰らなくていいの?家、遠いんでしょ」

「帰っても誰もいないから」

「……同じだ」

「じゃあ、もうちょっとここにいる」

それからお互い話す気配もなく

ただただぼんやりと空を見上げるばかり。

そのうち眠気が襲ってきて、

起きたのは太陽が沈む直前だった。

「私、もう帰るから。親はまだ仕事だけど。

ちゃんと帰るんだよ」

「うん、わかった」