屋根があるところに来ると

彼女は手を離し振り返った。

「すぐ止むから」

何を言えばいいのかわからず、うん、と返事を

することしかできなかった。

しばらくの沈黙を彼女が破る。

「長袖暑くないの?」

「暑いよ」

「じゃあなんで着てるの」

「たぶん、君と同じ理由だよ」

そうなんだ、と今度は彼女の方が

返事に困ったようだった。