が、すでに先客がいて、猫と触れ合っている。

足音に気づいたその人が振り返って目が合った。

赤いリボンが映える白い制服の上に

生成りのカーディガンを羽織った、

おさげが似合う女の子だった。

「…………何」

しばらく見つめ合ったあと、彼女が口を開いた。

「家、この辺じゃないよね。何しにきたの」

「……ひまつぶし」

「そう。……中学生?」

こくん、と頷いたのと同時にパラパラと

雨が降り出した。

夕立だ。

木の下に隠れるようにしていると、

彼女が手首を掴んでそのまま早歩きで

神社の奥の方へ進んでいく。

いつの間にか猫はいなくなっていた。