むしむしと体を蒸されるような感覚に

陥る梅雨が終わると、

今までの嵐が嘘のように晴れ渡り、

皮膚を焼くようなかんかん照りが続いた。

そんな暑さも関係なく、

佐久間 廉人(サクマ レント)は

厚手のカーディガンを羽織って

学校からの帰り道を歩く。

まっすぐ家に帰ることは躊躇われた。

どこへ行こうかとぼんやりと歩いているうちに

家から少し離れた神社の前に来ていた。

行く宛もないので休憩しようと鳥居をくぐり、

まっすぐは進まず横に立ち並んでいる

木の陰で涼むことにした。