「もう、大丈夫。ありがとう」

「うん。……誰にも話さないのは辛いでしょ。

特に親。話せばなにか変わるかもしれないよ。

私がそうだったもん。

1回でいいから話し合ってみな」

「そうする。ありがとう」

猫が、自分の存在を思い出させるように鳴いた。

少女が手を伸ばすと、頭を擦り付ける。

「そういえば、僕、

昨日君の名前聞きそびれたんだった。

なんて呼べばいい?」

「んー、そうだなぁ……」

猫を撫でながらしばらく考えたあと、

ハッと子供がおやつを見つけたときのような顔をして

こちらを向いた。

「リッカって呼んで!」