家に帰るとと宇宙人は普通に母さんとお茶をしていた。

「あ、お兄ちゃんおかえり。」

「兄ちゃんじゃない。」
相変わらず馴れ馴れしい宇宙人に僕は少しあきれつつ言った。

「ヒロ、愛にちょっと冷たすぎるんじゃない?」

「だから愛じゃないっていってるだろ!!」
そういい放つと僕は自分の部屋へと逃げた。



部屋に入ると押し入れから段ボールを引っ張り出して中をあける。
アルバムだ。

(あいつが愛なわけがない。)
昔のアルバムには元気に笑う妹の姿。
夏の川遊び。父さんの職場へ行った時の写真。二人で望遠鏡をのぞきあった時の写真。
涙で周囲が滲んできたその時。

コンコン。ドアのノックの後直ぐにドアが開いた。

「お兄ちゃん?なにかあったの?」

「なにかって、」
僕はあわてて涙で滲んだ目をこっそりと拭った。

「あーその写真。なつかしい。」
「お兄ちゃんがこの小さいお花を愛にくれたんだよね。」
宇宙人は僕の見ていたアルバムを覗き込むとそう言った。
写真は小さい頃に裏山にピクニックに行ったときの写真だった。
野原に咲いたアヤメの花が愛に似合うと思ってプレゼントした時の写真だった。

「なんだでお前がこの時のこと知ってるんだよ。」

「なんでって言われても、お兄ちゃんこのあと川に落ちて次の日風邪ひいちゃったんだよね。」

(なんなんだ?やっぱり、こいつは愛なのか?
愛しか知らないことをなんでこいつが。)

ピンポーン

僕はビクッと体を震わせた。
インターホンがなったのだ。
(こんな時間にいったい誰だ。)
僕は部屋に宇宙人を一人残し玄関へと向かった。


僕が階段から降りる途中で

「はーい。」
と母さんがドアを開けた。



そこには全身を白い防護服を着た人がが五人ほどいた。