研究所の人が無理やりに宇宙人を連れていったため玄関や階段は泥だらけだった。

母さんは力なくうずくまり涙を流した。

「あの子は愛よ。私にはわかる。母親だもの。」



「お兄ちゃんたすけて。」

あいつの言葉が頭を駆け巡る。
妹じゃないはずなのに、妹の声で。

「俺、いってくるよ。」


兄貴だから。
とっさにそう思った。

(何でだろうなにか思い出した気がする)


(あいつが連れていかれたのはやっぱりあそこしかない。)

僕はまたしても父の仕事場である宇宙開発研究所へと走りだした。