『私、健太さんのこと好きかも知れません。この2ヶ月一緒にいて思いました』


え?


わざわざキッチンまで私を追いかけてきて、そんなこと言われても、いったい何て答えればいいのよ。


『私、本気です。奥さんには、一応、言っておこうかと』


『智華ちゃん…それ、よく考えた方がいいよ。あの人はね…』


『上手くいってないんですよね?健太さんの態度見てたらわかります。何だか…健太さん可哀想です』


か、可哀想?


あの人が?


『智華ちゃん。あなたはまだ若いわ。あの人はもう40なのよ』


『年齢なんて関係ありません!私は…健太さんの優しさに…』


智華ちゃんは唇を噛み締め、そして、出ていった。


浮気ぐせのこと、ちゃんと言ってあげれば良かったかな?


でも「年齢なんて関係ない」その言葉になぜか敏感に反応してしまうのは、私も同じことを言われたからなのか…


ポツンと1人になったとても静かなその場所で、私はいっそう複雑になった自分の気持ちと向き合うこともできず、ただ立ちすくむしかなかった。