そう言いながらも思った。


私も、祥太君と颯君に抱きしめられたんだ…


私だって、既婚者なのに。


『智華ちゃんとは気が合うから、ただ話すだけだろ。変なこと考える方がおかしい』


あなただから心配しちゃうんでしょ。


『私、健太さんと話してると楽しいです。もっといろんなことを教えてほしいって思ってます』


旦那を見るキラキラした目。


本当に美人な智華ちゃん。


こんな若くて綺麗な女の子に「好き」なんて言われたら…


旦那はきっとイチコロだろう。


もう、私のことなんて1ミリも眼中にないんだろうな…


百貨店の時計売り場で働く旦那と出会ったのは7年前だった。


わりとガッチリした体格で、それなりにイケメン。


23歳だった私は、彼氏もなく、ちょっと結婚を焦っていた。


自分用に時計を買おうとショーケースを見ていたら、声をかけてきたのが旦那だった。


話が楽しくて、優しい人だって思った。


第一印象はすごく良かった。