コーディネートカラーの黄色が、部屋を明るく感じさせている。


入ってすぐに、イーゼルに立て掛けられた、大きくて真っ白なキャンバスが私の目に飛び込んできた。


『ここに座って』


『あっ、うん』


慣れないよ、こんなの。


全然わからなくて、どんなポーズがいいのか颯君に聞いてみた。


『そうだな。ただ…自然にしててくれればそれでいい』


『自然って言われても困るけど…こ、これでいい?』


本当に…ただ座ってるだけなんだけど。


『うん、それがいい。そのまま楽にしてて、でもなるべく動かないで』


『あ、うん。じゃあ、よろしくお願いします』


ぎこちなく笑顔を作った私は、まるでロボットみたいに体がガチガチだった。


颯君は、そんな私が緊張しないように音楽をかけてくれた。


静かめな曲調。


ムードがあって心地良い。


『じゃあ、描き始めるよ』


モデルなんて絶対無理だと思ったけど、颯君がいろいろ話しかけてくれるから、意外と力まずにリラックスできた。