『颯君は絵を描くんだろ?どんな絵を描くんだ?』


『…』


少しの沈黙。


そして、ゆっくりと口を開いた。


『今度、結菜さんをモデルにして絵を描きたいと思ってるんですよ』


『え?!結菜を?』


旦那が、驚いたように言った。


『すみません…勝手に奥さんをモデルにして』


『いやぁ、それは全然構わないけど。でも描くならもっと若い子にしなよ。智華ちゃんとかひなこちゃんがいるだろ。わざわざおばさんの結菜を描いてどうするんだよ』


旦那が笑った。


無神経で嫌な笑い声。


心が…傷む。


その言葉、私は、冗談にして笑えなかった。


『健太さん…俺は描きたいものに年齢なんて全く関係ないって思ってます。ただ結菜さんを描きたいんです。本能のまま…感じたままに全てを』


颯君…


『変わってるな、颯君は。芸術家っていうのは理解に苦しむよ。まあ、結菜を描いて後悔するなよ。あと、可哀想だからシワとかは消しといてやってくれよ』


旦那は、また笑いながら席を立った。


サンドイッチをあっという間に食べきって…