実は私も…


子どもの頃からピアノを習ってた。


兄と2人でずっと頑張ってたけど、私は途中でリタイアした。


仕事に行き詰まると、兄は今でも時々気晴らしにピアノを弾いているらしいけど…


私には、残念ながらその才能は全く無かったみたい。


そんな私達が弾いていたピアノがまだ別荘にあったから、祥太君はとても喜んでくれた。


たまにしか弾いてもらえず可哀想だったピアノを使ってもらえて、私もすごく嬉しかった。


防音設備が整ってる部屋で、しっかり調律して、昼夜問わずに練習している祥太君。


たまにその練習風景を見させてもらう時は、祥太君の素敵なピアノを独り占めできるとても幸せな時間になった。


力強さを強調させる兄とはまた違うタッチで、祥太君のピアノは、迫力の中にも繊細な優しさを感じる。


絶妙な音を作り出して、周りを魅了するその美しい演奏に、私はいつも時間を忘れそうになる程聴き惚れてしまうんだ。