『別にいいよ。でも、結姉を描くのに長い期間必要だから、次はいつになるか…』


『…え?ああ、じゃあ大家さんが終わるの待ってます』


明らかにひなこちゃん、テンション下がってる。


『ねえ、颯君。私よりひなこちゃんを描いてあげて。モデルは嬉しいんだけど、ちょっと自信ないから』


私は、苦笑いでその場をやり過ごした。


『じゃあ、自己紹介はこれでお終い。あとでお風呂とか他の部屋を案内するね。さあ、残ってるケーキも食べてしまって』


みんなは、それからしばらくお互いのことを話していた。


これから共に生活する相手に興味津々のようだ。


今まで全く違う人生を歩んできたみんなが一緒に暮らすって…


やっぱり何だか不思議な縁を感じる。


私はひと足先に抜け出し、夕食の準備を始めた。


これからは毎日みんなのために頑張って作らなきゃ。


新しく買ったエプロンをつけてキッチンに立ったら、美味しいものをたくさん食べてもらいたいっていう気持ちが溢れ出してきた。


これが毎日子ども達に食事を作る母の思い…みたいなものなのかなって、ちょっと嬉しくなった。