「そういえば夏休みいつからだっけ?」


「来週?いや、再来週からだな。あ、英語だけ課題先に配られたし早めにやっておけるぜ、ラッキー」

「え?ずるっ!こっちのクラスはまだだよ」

驚いて振り向くと、圭は食べ終わったアイスの棒を私に差し出しながら言った。

「ま、今年で卒業だし課題も全体的に少ないかもしれないしさ。配るの遅くてもいつもより楽だろ」

そう、それなのだ。今年で卒業。
春から通う大学は、圭は県外、私は地元。圭の進路を知ったとき、私は告白を決意した。離れてしまう前に、なんとしても気持ちを伝えたい。
受け取ったアイスの棒をゴミ箱に入れて、スマホをいじる圭の横顔をうかがう。

「ねぇ、圭」

「んー?どした?」

毎年、お互い他の仲が良い友達も含めたグループで行っていた、夏休みの花火大会。今年は、圭と……二人で行きたい。そしてその日、告白したい。
私は半ば緊張しながら、話を切り出した。

「花火大会さ、もう一緒に行く友達誘った?」