缶を置いた彼の手が私のことを引き寄せた。
押し返そうと伸ばした手は簡単に捕まってしまう。
『…待って』
「ずっと言いたくて…でも、我慢してた」
整った顔立ちの彼の真っ直ぐな瞳に射抜かれてしまった私は、もしかしたらあの子に汚されてしまったなんて考えていた湊と同じだけ、いやそれ以上の罪を犯していたのかもしれない、
「俺好きだから、美奈のこと」
『…浮気されちゃうようなやつだよ?』
「俺だったら絶対しない」
『っ…』
「…こんな傷つけたりしない」
『…ほんとに?』
「絶対幸せにする」
さっきまで私の話をへらっと笑って聞いてくれていた彼はもう、どこにもいなくて。
私の手を離してぐっと缶の中身を飲みきった彼から逃げることもせずに…抱き寄せられても拒まない時点でもう、答えは出てしまっていた。
『数馬、』
「ん?」
『…私も好きだよ、』


