「椿ー」 「え、なに?」 「ねー今日合コン行こ?」 午後の授業が終わってすぐ、 いつも椿くんのまわりにいる女の子の一人、佐々木さんが 椿くんの腕にぎゅっと抱きついた。 「俺にメリットあんの?」 「彼女ができる!」 「彼女ならもういるから」 「えー? でも本命じゃないんでしょ?」 聞こえた声に、反応してしまいそうになる。 でも、椿くんが私を好きじゃないのは、わかってる。 遊ばれてることくらい、わかってるから。 聞こえてないフリして、スマホに繋げたイヤホンを耳に押し込んだ。