そんな私を落ち着かせる間もなく、椿くんは私の手を握って人がいないところへ歩いていった。
「つ……、志木!
ど、どこ行くの?」
私の言葉に、反応してくれない。
怒ってるの?
盗み聞きして、ごめんね。
きっと冗談なのに…喜んでごめんね。
「………」
「………」
特別な授業の時しか使われない、旧校舎の空き教室。
少しだけ埃っぽい部屋に2人で腰をおろしたものの…会話がない。
椿くんはまだ怒ってるみたいだし…。
チラッと一瞬だけ椿くんに視線をやると、
椿くんと、バッチリ目が合ってしまった。
「……!」
慌ててパッと視線を逸らす。たぶん、椿くんも。
……なんで、こんなにドキドキしてるんだろう。
いつもみたいに話せばいいのに。
『嫉妬だよ!』
……ドキドキしすぎて、言葉が、出てこない…。



