何故かその日の椿くんは、ずっと不機嫌で。
いつも誘ってくれるお昼も、椿くんは一人でどこかに行ってしまった。
……そんなに、ダメだったかな、黒髪にしたの。
椿くんから『金髪が好き』と聞いたことはなかったけど、きっと金髪が好きだったんだ。
好みからズレて…私に呆れちゃったのかな…。
仕方なく一人でお昼を食べようと中庭を歩いていたら、
前に、見覚えのある後ろ姿が2つ、並んで歩いていた。
……椿くんと、楸くんだ。
後ろ姿は本当にそっくりだ。歩き方が少し違うくらい。
2人をぼーっと眺めていると、
楸くんがチラッとこちらを見た気がした。
「椿」
「なに」
「お前の彼女、今日急にイメチェンしたみたいじゃん?
それで愛想尽かしたって噂になってたけど?」