入学式を終えた俺は、家に帰る途中で、姫花を見つけた。

姫花は、キラキラした眼差しで、工事現場を眺めていた。

「姫花!」

「龍也くん!入学式終わったの?」

「おぅ、姫花学校は?」

「始業式午前中だけだからさ!」

姫花は、昔から変わらない笑顔で話をした。

姫花が見てる工事現場には、【遊園地建設予定】
と書いてあった。

「ここ遊園地できんだ!」

「遊園地できたら、姫行きたいな、行けるかな?」

「親に連れてってもらえば?」

俺は、相変わらず素っ気ない言葉を言ってしまう…。

好きな女には、かっこよく、『俺が連れてってやるよ!』なんて、言えなかった。

「そうだね…姫、家族と行こうかな!」

姫花のその言葉に、少し傷ついた…まぁ、俺が家族と行けばって言ったんだけど…

「龍也くんも一緒に行く?」

「バッバカ!俺が遊園地なんて…」

「そっか、こどもっぽいかな?」

「しょうがないから、一緒に行ってやる!」

「やったー、嬉しい」

姫花は、昔の笑顔を俺に向ける!

一番嬉しいのは、俺の方だ、姫花と遊園地ってまさにデートじゃん!そう思っていた。

いつできるかも、いつオープンするかもわからない遊園地…

俺たちは、未来の話で盛り上がっていた。

2人で歩いていると、いつのまにか、朝の桜並木を歩いていた。

「龍也くんって桜みたいだね、」

姫花は、突然そう言った。
俺は、この時、その言葉の意味がよく分からなかった。

「俺が桜みたいって…どこがだよ!」

「どこって言われると、難しいけど、龍也くんは桜みたいに見えるの!」

俺は、ますます、姫花の言ってる事の意味がわからない。

それから、姫花は、話題を変えたかので、俺が桜みたいって話は、ほんの数秒で終わってしまった。

桜は、風に吹かれて、散っていく。

花びらを追いかける姫花を追いかけていると、いつの間にか、家に着いてしまった。