友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~

「玲奈」
渉の切ない声をのこして、私は玄関の扉から出て足早にその場を去った。


もしかしたら渉が来るかもしれない。
見ているかもしれない。

でも早くこの場から去らないと・・・泣きそう・・・
立てなくなりそう・・・

私は振り返らずにその場から去った。

走るように足早に。

立ち止まらずに。

タクシーを拾って
タクシーに乗り込んだ時、私は張り詰めていたものがぷつんと切れたかのように、涙を流した。