友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~

「絶望する私と主人をおいて、あの子はすぐに現実をちゃんと受け入れたの。これが自分の運命だって。あの子の方が先に、現実を受け入れて・・・ちゃんと進みだした。このまま時を止めてほしいって、叶いもしない願いを続ける私たちを置いて・・・あの子は未来に進みだした。」
「・・・」
「あの子は自分の命が終わるまでの時間に、何をしたいか・・・次々に決めて・・・ちゃんと叶えていった。」

その中のひとつが、きっと私への・・・嘘だったんだ。

「高校を卒業してからあの子、病気が一気に進行してしまって、一日のほとんどベッドに横になって過ごすようになったの。その時に・・・あの子の手を支えながら一緒に書いた手紙があるの」
香澄のお母さんはそう言って、封筒を出した。

「これは渉君と玲奈ちゃん、二人にあてた手紙よ。読んであげてほしい。」
私と渉は、それぞれ封筒を預かった。

「玲奈ちゃん」
「・・・はい」
香澄のお母さんが私の両手を包み込むように握る。