友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~

「あの子、ここに引っ越してくる前に保育園でいじめられていたのよ。」
初めて聞く話に私も渉も、聞き入る。
「幼いながらにあの子の心は深く傷ついてしまってね、あの子は心を閉ざしてしまった。」
知らなかった。

私の知っている香澄はいつだって元気で笑顔で、明るくて・・・。

「ちょうど主人の転勤も重なって、ここに来たの。」
「・・・」
「不安だったわ。あの子がまた心に傷をおってしまったら、立ち直れず心閉ざしてしまうんじゃないかって。」
「・・・」
「でも、そんな時、玲奈ちゃんが香澄と出会ってくれた。」
知らなかった・・・。
そんなこと、知らなかった。

「あの子は玲奈ちゃんと出会えたから、心閉ざすことなく生きることができた。香澄にとって玲奈ちゃんは大切な大切な、ほかの誰にも代えられない存在だったのよ?それは出会った時から、香澄が亡くなるまで変わらなかった。」