友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~

ちくりと胸が痛む。

その時、ハンドルを握っていた渉の左手が、私の膝に置かれていた手の上に重ねられた。


渉はあの日以来、香澄の話しをしない。

私と香澄の間にあった、”親友”よりももっと深い絆を想って、何も言わないでいてくれているのだとわかりながら、私は渉に何も言えなかった。

大丈夫だなんて、嘘すらつけない。

渉はただ、私のそばにいてくれている。

寄り添い、そっとぬくもりを分けてくれた。

渉のぬくもりが、私の心をつなぎとめてくれている。