「この手を離しても・・・大丈夫だから・・・」
これ以上玲奈に言わせたらダメだ。

いつだって玲奈はそうだ。
昔からそうだ。

いつだって自分はダメな奴だからって、自分の言いたいことの半分も言わないで周りのことばかり考えてる。

唯一、あの展望台にいる時間だけは、ありのままの玲奈だと俺は昔から知ってた。

ただひとり、声を押し殺して涙を流している。
そんな玲奈がありのままの玲奈だ。

無理して笑ったり、誰かの影に隠れるようにして、自分を押し殺している玲奈ばかり見て来た俺が、唯一飾らないありのままの玲奈を見た瞬間から、心惹かれていた。

同じくらい、惹かれている玲奈の本当の姿をもっと見たいと思った。
心から笑う玲奈を見たい。本当に想っていることを聞きたい。
いつだって俺はそう思っていた。