「覚えてる?私が家族の話をしたときに渉が言ってくれた言葉。」
「あぁ」
「お前、頑張ってんだな。頑張って今ここにいるんだなって言ってくれた」
「あぁ」
温かな渉の手がゆっくりと私の手をさする。

「あの時の渉の言葉は、ずっと自分を否定しかしてこなかった私にとって、初めて存在を認めてもらえているような、魔法の言葉に聞こえたの。」
ふっと懐かしそうに微笑む渉。
「そんな運命一人で背負って。お前、すごいな。って。」
「あぁ」
「私が私でいていいって言ってくれているような渉の言葉に、救われた。ずっと真っ暗だった私に光をくれた。」

あの時の渉の言葉に、何度救われただろうか。

「ありがとう」
ちゃんとお礼を言ったことがあっただろうか・・

私の言葉に渉は微笑みながら私の頬を撫でた。