「私の逃げ場所だった。あの展望台のあのベンチが。」
ふっと優しく微笑む渉。

「何も聞かずに、ただ隣にいてくれる渉の空気感に私は救われたの。何度も。うんん。ずっと救われ続けてた。」
優しく微笑んだまま渉は私の手にそっと自分の手を重ねる。

「渉のつくってくれる空気感に、私は話たいと思った。私のことを知ってほしいって。ほかの誰かに知ってほしいなんて思ったことなかった。」
「うん」
目頭が少し熱くなるのを感じて、私はこらえた。
今日は泣いたらいけない。

涙は流さないと心に決めている。


今日私が泣いたら・・・ダメだ。