あれこれ話をしていた私たち。気づけばカートが山積みになっていて、一つも私に荷物を持たせてくれない渉は両手にかなりの量の荷物を持ち帰宅した。

二人で買ってきたものを片付けてから、私は渉にコーヒーを淹れて、渉は私に果物ジュースを作ってくれた。
ソファに並んで座り私は渉の作ってくれたジュースをひとくち飲んだ。


さわやかなオレンジの風味が体中に広がる。
私はコップを机に置いて深呼吸をした。


隣では私の淹れたコーヒーを味わう渉。


話をするのはいまだ。


「渉」
私が名前を呼ぶと渉はいつものように優しい瞳で「ん?」と私の方を見た。