母は私が好きだったシチューを作ってくれた。
コーンクリームのシチュー。

母に言ったことはなかったのに、ちゃんと私の好物を知ってくれていて、苦手なニンジンは小さく刻んでくれている。

私たちは母の手料理を食べてから、実家を後にした。


その時、父から私の手に何か渡された。

「・・・?」
渡されたものを確認しようと手を開くとそこには見覚えのある鍵。

私がポストにいれた実家のカギだ。

「いつでも帰って来なさい。」
父の言葉に私は再び自分の手元に戻ってきたカギを胸に握りしめて頷いた。