友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~

ベッドと小さな簡易机くらいしか置けない広さの部屋。
ほとんどの物は処分してしまっている。

渉は部屋の中のものには目を向けず、真っ先に部屋の中に唯一ある窓の方へ向かった。

嬉しそうに窓に触れて、その窓から見える景色を見た。

「ここから抜け出してたんだな」
「うん」
小さな窓。

ここから何度も夜抜け出して公園へ行っていた。

「ここからきてたのか」
「うん」
「そっか」
「うん」

私たちは手をつないだまま外を見た。