友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~

窓を開けるときにキーっと音が鳴る。

「ごめんな」
窓の外を見たまま、渉がつぶやく。
風に流れて渉の声ははっきりと聞こえてくる。

「その子守るために、仕事辞めて、ここに越して俺に会わないようにって考えてたんだろ?俺に負担かけないようにとか、迷惑かけないようにとか・・・一人で全部抱えて・・・」
渉も、実際に私がしようとしていた選択を知って、現実を目の当たりにしてショックを受けていることが分かって、心がずきんと痛んだ。

「私が勝手に選んだことだから」
「違う。俺がそうさせたんだよ。」
「違う、私が!」
渉の方へ近付き声をあげると、渉が振り返った。

「もうこんな想いは絶対にさせない。させたくない。」
悔しそうな渉・・・。