「玲奈」
「ん?」
渉は部屋の奥に開いているスペースに座り私を呼んだ。

「必要なものだけ持って、俺の家に行こう」
「・・・」
「玲奈を一人にできない。いや、ひとりじゃないか。玲奈とその子を二人にできない。」
夕日が差し込む部屋。

渉の後ろにあるこの部屋唯一の窓から西日が差し込んで、渉がまぶしく見える。

「今日はいっぱい移動もしたし、体に負担かけたから、ここに泊まって明日俺のとこに行こう」
「・・・」
返事をしない私の方へ渉が近づいてきた。

「玲奈。」
「・・・わかった・・・」
「よし。よかった。」
渉は安心したかのように、振り返り部屋の窓を開けた。