引っ越し先だった場所には予定していたよりも早く着いた。

「玲奈はここにいろ」
そう言って渉は車のエンジンをかけたまま、車から降りて引っ越し業者に謝ってくれた。
これは私の責任だからと、車から降りて渉のあとを追うと、すぐに私に気が付き、渉が厳しい目で見る。

「車に乗ってろ。危ないから。」
すぐに私の背中に手をまわして車へ連れて行こうとする渉。

「大丈夫だから」とその手をすり抜けて私が引っ越し業者の方へ行くと、渉は危なくないようにと寄り添ってくれた。

「本当に申し訳ありません。部屋に荷物を入れていただければあとは私がやりますので」
業者も、時間よりも早く着いたことに免じてか態度も穏やかになってくれていた。


それから渉も業者を手伝ってくれて、部屋の中にひとまず荷物を運んでくれた。
私は渉に言われて部屋の端でその様子を見るだけ。