友達の恋人 ~ 一夜からはじまる愛の物語 ~

「なんで・・・?」
震える声で聞く私に、渉は眉をあげて困ったように微笑む。
「偶然だな」
少し大人になった渉は最後にあった時よりも少しやせて、ワイシャツ姿が似合う大人の男性になっていた。

渉に会うのは私が短大の1年の時の秋以来だ。

それは親友のお葬式の日。

渉にとっては彼女だった。
私にとっては親友だった。

清水香澄の葬式の日だった。

お互いに喪服に身を包み、私たちは目と目を合わせただけで、何も言葉は交わさなかった。

かわせなかった。

人生においてとても大切な人の存在を失って、それどころではなかった。

うんん。私は違う。