「このようにですね、駅からも近く便利がいい物件となっております!」


よし、いい感じ。
今まで一番段取り良くできたはずだ

でも、一原さんずっと聞いてるだけなんだけど大丈夫かな?


「一原さん、このお部屋気に入りましたか?」

「あ〜、はい」

「本当ですか!じゃあご契約……」

「でも、なんか足りないっていうか」

「説明が足りなかったですか?どこがわからなかったでしょうか?」


あと一押しだ、頑張れ自分‼︎


「とりあえず、この仕事好きですか?」

「は、はい?」

「なんか説明聞いてると、契約してほしいって気持ちがだだ漏れ」

「え……いや、」

「どうせ一回も契約された事ないんでしょ?」


うっ……
この人何なんだ。言ってる事当たってるし、最初のイメージとは違って怖いんだけど……



「私は市原様に満足頂けるお部屋を探して……」

「ほんとにそれだけ?」

「ほん……とです……」

「契約とれないとクビとか?笑」

「え!!そ、それは」

「へ〜図星」

「あの!さっきから大人しく聞いとけば、いろいろ言ってきて!私だって、一生懸命頑張ってるんです!お客様に寄り添って、御要望にも答えて……でも、なんか……いっつも、上手くいかなくて……」



なんで、この人の前で泣いてるんだろ。
市原さんの言うことは全部正しい、悔しいけど何も言い返せない。