「お疲れさまです」
「あ、紫織さん、お疲れさまでーす」
お互いにニコッと微笑んですれ違ったのは総務の女子社員。
彼女は三十代らしい。自分よりずっと若い人ばかりだと思っていた社員たちは、そう見えただけで、同じくらいの年齢の人も多かったし、室井と同じ四十代の社員も沢山いた。
定年まで働けるかなぁと考えてみた。
もちろん勉強はしないといけない。
苦手なパソコンとの闘いだから一筋縄にはいかないけれど、いまの時代この会社でなくてもそれは同じだろう。
コンビニエンスストアで沢山のシステムを覚える大変さと比べたら、まだ自分のペースを掴めるだけ気が楽だとも思う。
などとつらつら考えながら喫茶コーナーに向かうと、笑い声が聞こえて来た。
「あはは」
それは光琉の楽しそうな声だった。
――誰と一緒にいるの?
なにやら嫌な予感がして足を止めた紫織は、頬を強張らせた。



