「こ、ここですか?」

「ああ」

 看板には確かに『株式会社SSg』と書いてあるのだから間違いはない。

 ――でも。

 ビルを見上げた紫織は出来れば違ってほしいと思いながら、振り返ってもう一度看板を睨んだ。
 そしてもう一度見る。

 今にも倒れそうだった花マル商事のビルとは似ても似つかない。

 真新しい近代的なビルは、太陽に祝福されているかのように、キラキラと輝いていた。