そして次の日。
紫織の母に勧められて、宗一郎も一緒にお見舞いに行くことになった。
父の心臓に悪いのではと思ったが、宗一郎が来ていることを既に伝えてあるという。
「私は本当にホッとしているのよ。宗一郎さん。いまとっても、肩の荷が下りたような、そんな感じなの」
タクシーの助手席で、そんなことを言って振り返った紫織の母は穏やかに微笑んでいる。
よかったという想いを胸に紫織は宗一郎の手をただ握った。
父はどう思うのだろう。
自分の息子だと思って養育費を送り続けた子が自分の子ではないという気持ちなんて、考えたところで想像もできない。
――でも、お願いだから許してお父さん。
紫織はそう願うしかなかった。



